朝5時00分 起床
気温華氏73度 摂氏22℃
湿気が、ぶわぁーと全身をつつむ朝ですね。家を出ると、雨上がりで、路面が濡れていました。昨夜は、熱帯夜だったそうで、寝苦しかった。台所の排気ファンを一晩中まわして、窓を細めに開けて、涼をとりこむ。なんどか、エアコンのスイッチ、入れようかなと迷ったくらい。家具の裏から大きなゴキブリが一匹、アツイ、アツイとへたったかんじでヨロヨロ出てきたので、ダニアースをシュ、驚いて、あわてふためいて逃げ、家具の下へ、しばらくすると、こんどは全身に汗かいたように光って出て来、ヨタヨタと息も絶え絶え、アツイ、アツイという具合に、さらに疲れた屁たったかんじで、部屋の真ん中に向かう。ヨロヨロと。まるで、夏ばての爺さんのよう。
そこへ、おいらがまた、シュー。ダニアース。冷や水ぶっかける。
コロっとはいかなかったが、おいらも、意地悪だ。冷たい水のかわりに殺虫剤かぶせるし。あっちむきこっちむき頭をうごかしてもがいていたが、ついに、手足も、ぱたりと止まった。まるでサラリーマンだね。おまえは。
しばらくフローイングに広がる海の底に、じっと沈んでいる黒い物体を眺めていたが、時間とともに、光っていた海が蒸発して、ゴキブリが現れた。いまにも、手足を動かし、触手の角を動かし、頭をもたげそうな気配がした。カフカの、あれだね。あんな感じ。ある朝目覚めたら突然「虫」になってしまったり、突然「逮捕」されてしまったり、不可思議な裁判に巻き込まれてしまったり。もしこんな事が日常生活の中で突然起こってしまうようだったら、不安でしょうがないでしょう。サラリーマンと同じ。漠然とした不安が世の中に蔓延している。安心・安全にするためゴキブリの背に、総背番号でもつけようか。