朝5時00分 起床
気温華氏52度、摂氏10℃
新聞には「押し紙」つう、購読者以上の新聞紙を販売店に配達するという慣習があるらしい。これはなにも新聞にかぎったことでなく、電気店にも、むかし、テレビや冷蔵庫など、在庫で押入れ売り上げ達成キャンペーンなどというのやっていた。
キャンペーン期間中だけ、売り上げが大幅に伸びるが、その後は返品につぐ返品であった。とくに季節品のエアコンは、あたるも八卦、あたらぬも八卦のばくちがからんでいた。
猛暑になれば品不足が生じ、冷夏になると、返品、もしくは手形を落とすために闇に流す。かかえた在庫を現金化するため必死の販売店と、やすく買い叩いていく業者と入り乱れていた。
バブルの中にデフレがあった。
さながらセールスマンの売り上げ目標は、インフレ促進キャンペーンで、このキャンペーンをとおしてモノがながれ、それらのモノをめぐって複雑な物流が形成されてデフレ状態になる。
バブルのころは、メーカーの拡販キャンペーンで懸賞金や商品券がついてまわり、そういうお祭りキャンペーンに、売り上げで貢献したところは、仕入れ過剰なのに、大相撲のチケットもらったり、海外旅行に招待されたり、特別ボーナスがわりに、リベートが上乗せされて支払われたりした。4600億円の松下の赤字やら、2600億円のソニーの赤字とか、海外企業によるシャープの買収とか、日立の家電撤退とか、電機業界の在りし日の姿は、あのころと比べると業種の大きな衰退に感じてしまう。
そこでシロートが考えたのは、経済の右肩上がりというのは数字のマジックではなかったかということ。大量生産、大量消費の数字、これが企業の活力源になっていた。右肩あがりの数字を追っかけること。その後、それは経済のグローバル化という神話を拡大していく手段となる。
そして神話の時代の幕開け。
リスクヘッジと経済の肥大・拡大化の妄想神話、デリバティム金融商品の開発という仮想商品の発見であった。伝統的に金融取引とか、実物商品や債券取引の相場変動からリスクを回避しようと編み出された商品である。それがじったいのある<ばくち>から仮想取引の<ばくち>へと経済を大きく変転させてしまったのだ。その転換の行くつところ、それが<賭場>である、つまり、<TPP>という賭場なのだね。
TPPは、仮想と実体が、三つ巴になった経済理論の最終の<狩り場>であろうと推測する。